こんにちは、ひろすけです。
アカデミアで研究職として採用される時、
論文の質や量、外部資金の獲得などが大きな評価ポイントになると聞きます。
私は応募したことはあっても、
採用する側になったことはないので正確なところはわかりません。
逆に、企業としては採用の評価を部分的ではありますが、
する側になったので少し視点が分かるようになりました。
業界や職種によるところは大きいという前置きがつきますが、
アカデミアと企業で意外と違う評価のポイントの一例を紹介します。
要点
- 企業では論文よりもむしろ集会企画といった業績の方がアピールしやすく、評価もされやすい。
- 評価されるのは講演者ではなく、企画者であること。自ら発案し、人をとりまとめできる能力や実績は企業では重宝される。
- 小規模な学会の自由度の高い企画集会などは手が届きやすい。アカデミアで活躍するとしても良い経験になるので早めにチャレンジすることがおすすめ。
企業での評価は 論文<<集会コーディネート
自ら企画や人をまとめられる人材は企業にとってとても貴重です。
当然そうした素養や実績のある人を企業としては高く評価します。
そんな時に博士として出せる実績が、
シンポジウムや集会、セミナーなどの企画者としての経験です。
企画者という実績、アカデミアでの研究業績の評価としては低いでしょう。
集会の企画が何件あっても正直、評価にならないかもしれません。
だからか、たいてい実績一覧を作っても後ろの方にあります。
場合によっては記載しないこともあるかもしれません。
ただ、企業へ就職を希望して、
実績一覧に特段指定なく記入できるならかなり前の方に入れたが良いです。
間違いなくプラス評価される項目です。
企業ではいろいろな人が働いていますが、
能力が高くても人をまとめることが苦手な人、
企画や発案といった新しいことをするのが苦手な人、
こうした人が多数派です。
こうした組織では、何らかの集まりを自分で発案して形にする能力、
それを示す実績は魅力的です。
見出しのとおりですが、論文よりも評価されます。
NやSのようなトップジャーナルの論文よりも評価されることも当然のようにありえます。
ふつうの企業では、IFはおろか、
Natureという雑誌もたいてい採用側は知りません。
ちなみに私の勤め先は博士経験者も多いので、
有名な雑誌なら上層部も把握しています。
ですが、NやSといった実績があっても(※実際これまでにあった)、
「なんでわざわざ民間に応募してきたんだ?」とか
「なにか人間性に問題があるのか?」ぐらいの話になります。
アカデミアでの評価軸と企業での評価軸は全く異なる。
まずはそれは覚えておきましょう。
集会等の企画者であることが重要
シンポジウムや集会では、企画者・コーディネーター・講演者など、
いくつかの登壇者がいます。
この中で企業的に評価されるのは企画者です。
コーディネーターが務まるということも場をとりまとめる能力の高さ
を表しているのかもしれません。
ただ、あまりそれ自体が評価されるということはないと思います。
言ってしまえばその場でまとめるだけで、
企画力のようなものは必要ではないですし。
(※それよりも経験や機転のようなものが求められますね。)
企画者が評価される理由は前述のとおり、
発案・企画・とりまとめをすることに価値があるからです。
小さめ・早めにチャレンジ
企業での評価のためというのは二の次で、
アカデミア一本で行くにしても、
集会等の企画は早めに経験しておく方がよいでしょう。
企画をすることでどんな人に声をかけたいかが身をもってわかります。
自分が呼ばれる側になるために必要な要素も分かります。
また、演者を身内で固めるようなことをしなければ、
集会等をとおして、つながりが広がります。
アカデミアという世界にかぎらず良い仕事をする上では、
人脈・人とのつながりはあるに越したことはありません。
ただ、外部予算を獲得してたくさんの人を集めるような大きなシンポジウムを
いきなり企画・運営するのは難しいです。
段取りもスケジュール感もイメージしづらいでしょう。
まずは手の届きやすいところで、
とりあえずやってみるのが良いです。
できれば経験者にアドバイスをもらいながら、
小規模な学会の自由集会あたりへのチャレンジするのがお勧めです。
できるだけハードルが低いものをはじめに経験しておくと、
企画集会・シンポジウムとステップアップがしやすいです。
0と1の差は大きいですが、
1の経験があれば2や3は比較的楽にいけるものです。
あと、学会により強い意義(とプレッシャー)をもって
参加できるようになるのも隠れた利点です。
ステップを続けていくと企画ないのに学会参加する意味なくない?ぐらいなります。
(※意味はあります)
なお、私はポスドク時代に学会でプロジェクトの発表をしないといけませんでした。
自分のメインテーマの発表をする機会がなく、
その機会を作るために自由集会を企画していました。
そんな使い方もできると便利なので、
やはり早めにやってみることをおすすめします。
まとめ
企業で意外と評価される業績からはじまり、
とりあえず集会を企画してみようというお話でした。
就職に必要な実験や論文の本数を出すということを最優先にするなら、
学会の集会の企画や地域でのセミナー主宰などは、
時間的な負担になるので足枷になるかもしれません。
アカデミアでいずれPIになろうという意識があるのであれば、
避けては通れない道でしょう。
私のようにアカデミアを断念したとしても、
無駄どころかプラスにはたらくこともあります。
この記事を読んで気になったら事前調査として、
過去の学会の集会の要旨などを眺めてみてはどうでしょうか。
意外と「このぐらいでもいいんだ」と思えるかもしれません。