こんにちは、ひろすけです。
先日、知人(博士ではないが超仕事ができる)と
企業で活躍できる博士って一握りだよね、という話をされました。
「いやいや、博士に限らず、企業で持ち味活かして活躍している人が一握りだよ」、
とは言ったものの、博士の高いであろう能力を活かせないのは問題だと思いました。
そもそも、博士の中で、どんな人が企業に就職しても、
力を発揮できるのか。
企業で就職を考えている博士にとって、
そちらの方向に進んで大丈夫なのか…
というイメージが持てると良さそうと思い記事にまとめていきます。
いくつか視点があるので今回は「博士のプライド」とします。
なお、業界や職種によって結構な違いがあるので、
当てはまらない場合もあるのでその点はご了承を。
要点
- 博士という肩書を捨てられることがはじめの一歩
- 多様な能力・知識レベルの人がいる環境でも自分と周囲を磨いていく意思があるか
- 業界や企業の文化・風土に合わせられる柔軟性があるか
博士号は社会ではほぼ評価されないものと知る
苦労してとった学位(博士)に思い入れのある人が多いかもしれません。
ただ、企業というか、実務の世界では博士という肩書にはなんの価値もありません。
「なんでわざわざこの業界にいるの?」と思われることも多いです。
博士になる課程で身につけた能力には価値がありますが、
博士という肩書であったり、プライドを捨てられるということは重要だと思います。
役立つ瞬間というと、
名刺(資格などを一覧にしている)を交換した際に、
稀に「博士号を持っているんですね」という話題で話がつながる、
ぐらいのものです(本当にそれぐらいしか役に立った思い出がない…)。
アカデミックでは博士は公募でのほぼ必須資格ですが、
企業では場合によっては嫌厭されることもある資格です。
その業界で影響力のある資格なら提示する意味がありますが、
そうでない資格に見向きをされないのはどこでも同じです。
何よりも能力が重視されるので、博士という肩書、
それそものにこだわりがあると企業では残念ながら働けないと思います。
能力が低い人もいる環境で持ち味を出せるか
アカデミックでも能力が低い人はいるよ!という声、わかります。
ただ、待ってください。
ふつうの企業はもっといます。
正確に言うと、能力の幅がアカデミックよりも広いです。
低い人から異常に高い人までが混在しています。
アカデミックの世界(学会や研究室)では、
曲がりなりにも博士号を持っていたり、
取得を目指していたりする人が多いです。
そのため、言い方は悪いですが、
下のラインがある程度揃っています。
中小企業・大企業によらず、超優良企業でなければ、
アカデミックにいた時と同じレベルは求められないでしょう。
加えて、社員の興味や知識のバックグラウンドが全く統一されていません。
これは思った以上にギャップを感じることになります。
周囲に自分よりも優れた人が多く、
さらに興味や共通認識ができている人達ばかりという環境は、
(その中で競争すると思うと泣きたくなりもしますが)
恵まれた環境でもあります。
そうでない環境に自分が入ったときに、
自分がうまくやれそうかは重要なポイントです。
私自身が体験したり身近な人から見聞きしたことはありませんが、
能力が高いが故に孤立する、ということも起こるらしいです。
そこまでは行きませんが、能力が高いけれど、
それを活かしきれない(周囲に良い影響として波及できない)、
ということは起こり得るなと実感しています。
多様な人がいる環境で、
互いを尊重しながらうまくやれるか、というのは一つの重要なポイントです。
業界や企業の独自の文化に合わせる意思があるか
日本の常識は世界の非常識と言われますが、
これは国によらずどこも同じでしょう。
同様にアカデミックの常識は、
業界や企業の非常識です。そして逆も然り。
文章の作り方やプレゼンの構成など、
業界の文化(=その形でないとわかりにくい)があります。
働き方もそうです。
たとえ自分がやりやすい・わかりやすいやり方であっても、
周囲の人がそうだとは限りません。
残念ながらむしろそうではないと思うべきです。
いくつか研究室を渡り歩いたポスドクであれば分かると思いますが、
各所に独特のルールがありますよね。
ルールは少しずつ変わっていくと思いますが、
完全に同じではありません。
研究室という単位は企業でいうと1つの部署(部屋)ぐらいの単位です。
部署レベルのルールであれば協力者がいれば変えられます。
企業レベルもそれなりに大変ですが、
やり方と努力次第で変えられるかもしれません(特に規模が小さないならやれる)。
ここがたぶん限界です。
それを越えると変えるのはほぼ不可能です。
たとえ非効率だと思っても、
それができた理由や背景があります。
それに理解を示して、受け入れる柔軟性が必要です。
まとめ
今回は企業で働く場合に事前に確認しておきたいポイントをまとめました。
博士のプライドとはタイトルで書きましたが、
それまでやってきたことを一旦リセットして、
新しい場所に順応する、その意思があるかということになります。
アカデミックから企業への就職だけでなく、
転職や業種を変更する時もきっと同じですね。