こんにちはひろすけです。
今回は企業での就職を選んだ博士の実例として、
身の回りの人物の例を紹介します。
これまでは私だったり、私の会社の人物でしたが、
他の企業に就職した知人である葉山さん(仮名)の例です。
私とは出身ラボも現在の業界・業種も違います。
こういう博士もいるんだ、という参考になれば。
要点
- 葉山さんは若手研究者としてはエリートコースだったが、任期付ポスドクの期限満了前に企業に就職
- 企業での就職を選んだのは、アカデミック業界の先が見えないから
- 入社当初から物言う社員で、現在は出世もしている様子
有望な若手研究者が突如企業に就職
葉山さんと知り合ったのは学会です。
年下だったのですが、
私が参加していた複数の学会で活発に発表をしていました。
お互いお酒が好きで、学会は交友関係を広げるために来ている、
という認識だったので話すようになり、
学会の度に飲みに行くようになりました。
当時、アカデミックのことしか考えていなかった私は、
将来ポストをめぐるライバルになるな(そして業績では勝てない)と思っていました。
葉山さんは順調に、学振DC1となり、その間に短期留学。
短期留学中に大御所と協同研究をし、
学振PDにストレートで採用されていました。
たぶん私が葉山さんの立場なら、
企業で就職なんて考えもしないでしょう…。
そんな葉山さんは学振PDの採用期間内に企業に就職します。
将来有望な若手研究者がどうして?と界隈では衝撃だったようです。
私はその時すでに今の会社に就職していて、
その界隈から遠ざかっていたのでリアルタイムでは知りませんが。
企業に就職した理由
葉山さんが就職したのは日本人なら誰でも知っている大企業の関連グループでした。
ちょうど私が企業を視野に就職活動をはじめた頃に話をし、
葉山さんもアカデミックでの就職は考えていない、
という話を聞いて驚いたのを覚えています。
順風満帆な実績で、
論文も同世代では頭2つぐらい抜けた本数を持っていました。
そんな葉山さんが企業に就職した理由は
「アカデミック業界に先があるとは思えない」からでした。
アカデミック業界が先細りしていくであろうこと、
その中でポスト争いをすることに嫌気がさしたらしいです。
傍から見ると、葉山さんの能力と実績があれば、
アカデミックでポストを得るのも時間の問題のようでしたが、
その時間の問題が耐え難かったのでしょう。
敢えてアカデミックで戦わなくても、
場所を変えてやりたいことをやれば良いと思ったのでしょう。
実際に葉山さんの職種は企業での研究職で、
研究実績をよく活かせるであろうものです。
就職してその後
葉山さんが就職したのはもう5年以上前の話です。
就職してわりとすぐに、
飲みに行って近況を聞いたことがありました。
当時は「企業って考え方が硬い」とか
「思考停止に陥っている」とか、
ありがちな愚痴をこぼしていました。
そしてその愚痴の内容を組織の会議で、
提起しているというというから驚きでした。
愚痴(=課題)を提起して、
解消するアクションを起こそうというのは真っ当なことです。
ただ、それを新入社員がするというのはなかなかハードルが高いです。
会社の人からするとぶっとんだ新入社員がいるな、
と思ったことでしょう。
そんな葉山さん、今はそれなりに出世もしていて、
会社の発表なども任されているようなので、
うまく会社に順応して、評価も得ているのでしょう。
まとめ
今回は企業に就職した博士として、
知人を例に紹介をしました。
企業で研究職というのは、
研究能力を活かすという点で理想的な博士の働き方のひとつかもしれません。
問題はそういったポストが多くないことですね。
特に基礎研究分野では企業に研究ができるポストはそもそもない、
ということもあるでしょう。
そういう時には少し範囲を広げてみると完全に同じではなくても、
近い分野が意外なところにあるかもしれません。
葉山さんには最近会えていないので、
コロナがもう少し落ち着いたら近況を聞いてみようと思います。
(こんなことばっかり言ってもう2年後回しになっているんですが…。)
また他の博士の例もあるので、
別の記事で紹介していこうと思います。
企業での就職活動の参考になれば嬉しいです。
では、また。