こんにちは、ひろすけです。
理系の大学院生やポスドクにとって、
「もっと分析しないと」や「分析があまい」は
言われたくないフレーズではないでしょうか。
でも、企業にいると結構な頻度で耳にします。
私自身も部下に言うこともあります(もちろん言われたこともある)。
そもそも企業で求められる「分析」って何なのか。
分析をどのように行なったら良いのか。
理系の大学院生やポスドクは少しの思考の切り替えで
うまく行うことができると思います。
参考になれば嬉しいです。
要点
- 分析の意味は細かく要素を分け、構造や性質を明らかにすること。
- 企業で必要となる分析は、問題や課題を解決するための原因の洗い出し。そのためには、必要なデータをいかに集めるかがすべて。
- 深く捉える/多角的に捉えるを、意識すると相手の求めているものが返せるようになる。
分析とは細かく分けること
まずは言葉の定義から。
分析は構成する要素に細かく分けること、
複雑な事柄を要素や性質に分けていくことです。
場合によってはデータを集めるところからのスタートになる場合もあります。
つまり分けること、が分析です。
よく似た言葉に解析があります。
解析は分析よりももう少し踏み込んで、
性質や規則性、原因(本質)を明らかにすることです。
分析は思考的な作業が多く、
解析は分析で切り口が決まった後に、
場合によっては統計手法や機械学習を適用するかもしれません。
業界によっても違うかもしれませんが、
実際には分析も解析も同じように使われていることも多いです。
企業で求められる分析とは
私の会社の職員は理系とよばれる大学出身者で構成されています。
ただ、理系といってもバックグラウンドは様々です。
数字に強い人はそう多くはなく、
データ「解析」ができるような人は多くありません。
全体の2割には満たないでしょう。
そんな中で「分析」を行うことは
ほぼすべての職員が求められます(できるかは別として)。
そこで求められているのは、
色鮮やかなグラフでもなければ、
複雑な統計モデルでありません。
解決策や提案につながる要素を明らかにすることです。
極端な話をすれば1つの集計表と生データのみで決着がつく場合もあります。
例えば、残業時間がこの部署で長くなる理由を調べてや、
このチームのプロジェクトの進行が遅れがちな要因はなに?
というお題がよくあります。
企業内部で必要な分析対象のよくある例です。
まず必要なデータを集めるところや
関係者へのヒアリングなどから始めます。
…が、このデータを集める・ヒアリングをする際に、
どのような視点で情報を収集するかが肝です。
表層的なデータを全体から収集しても、
結局のところ求めている要素まで分解することができません。
最終的にどのような分析をしたいのか、
つまりどのような仮説をもってデータを収集するか、
が肝になります。
理系出身の若手社員は実験というフィールドに立てば、
仮説思考や論理的な思考ができるのですが、
こうした実務の現場ではその能力を活かしきれないことが多いです。
思考の切り替えといいうか適用範囲の拡張なのですが、
意外とつまづいてしまう人が多いです。
原因をある程度想定して(仮説を立てて)、
データの収集方法をデザインする必要があります。
多角的に捉えると深く捉えるを意識して行う
仮説思考が重要なのですが、
残念ながらはじめの仮説が外れてしまうことはあります。
場合によってはデータ収集からやり直しになるかもしれませんが、
その場合に必要な視点は、
①仮説の方向性を変える
②同じ方向性でより詳細な分析(分解)ができるデータを収集する
の2つです。
ただ、②でうまくいったことは経験的にはほとんどありません。
そもそもデータ不足で分析が十分にできない場合はありですが、
(それはデータ収集の仕方に問題がある)
そうでなければ①で視点を変えるほうが実りが多いです。
実際にはできませんが、あらゆる可能性を考えて分析する、
ということがはじめは良いでしょう。
その中であたりが付いてから①のように原因や根拠を
詳細に詰めていく方がうまくいきやすいです。
そのため、仮説の段階で1つに絞るのではなく、
複数の仮説を検証できるデータを収集することが重要になります。
まずは多角的に捉えて、複数の有力な仮説を立てる。
その後に絞られた仮説でしっかりと根拠を詰め、
解決策に結びつく原因を提示することがゴールです。
ちなみに、
残業が多い部署の分析結果は業務内容などが問題ではなく
数人の働くの大好き職員が全体を引っ張っている、
プロジェクト遅延は特定の職員の仕事の偏り、でした。
原因の特定ができれば解消方法はシンプルなものになりました。
まとめ
今回は分析についての記事でした。
理系の大学院生やポスドクなら分析を行うのはお手の物、なはずです。
ただ、企業で求められているものと、
サイエンスの中でやってきたことが少々違うので、
持っている能力を活かしきれていないことが多いです。
分析に求められているものがなにか、
さえはっきりしていればあとは意識と慣れの問題かもしれません。