博士が企業で働く

私の略歴その②ポスドクまで

こんにちは、ひろすけです。

しばらく間が空いてしましました。

今回は私の略歴の2回目です。

前回は大学院修士課程までを振り返りましたので、

今回は博士課程とポスドクまでを振り返っていきます。

大学院博士課程:世界の広さを知る

修士論文を無事に提出し、内部進学で博士課程に進みます。

私の大学では、修士課程から博士課程への試験は簡単な面接のみでした。

最近は一貫制で、修士課程を前期、博士課程を後期とする大学も多いですね。

修士課程での実験結果を投稿論文にまとめながら、

日々実験をしていました。

博士課程でのトピックは2つです。

実験がうまくいかなくなったこと、

学会など学外の人と触れ合う中で世の中には異常な博士がいること。

この2つで私はアカデミックに限界を感じていくようになりました。

修士課程までは順調だった実験が突如うまくいかなくなります。

とある実験設定が問題だったのですが、

その解消に実に2年間を費やしました。

この間、新しいデータをとることもできず、

非常に焦りを感じていました。

メインのテーマとサブのテーマを分けて実験をするなど、

リスクヘッジをしっかり行っていればよかったのですが、

当時の頑固で猪突猛進の自分にはそんな選択肢はありませんでした。

結果的に、この2年間でデータをとれなかったことが、

投稿論文の本数に直結し、想定した目標を達成できずに、

企業での就職活動をすることになります。

もう1つは突き抜けた博士たちの存在を知ったことです。

大学院博士課程で学会に参加するようになると、

同世代で突出した能力や業績をもつ人がいることがわかります。

たいていは博士課程の人にはおなじみの学振特別研究員(DC1/DC2)なので、

特に同世代では目星がつきやすいです。

集会やシンポジウムを主宰し、

学会で存在感を放っています。

そして、そんな人達でも簡単にはパーマネントポストを

なかなか得られないという事実を知ります。

私も運良く学振特別研究員として採択されていたのですが、

自分とそのトップ層の差には大きな差があることがよく分かっていました。

ただ、この頃は時間をかければ、

アカデミックでポストを得ることができるだろう、とまだ楽観的でした。

博士論文は大変だ、と言う人もいますが、

私の大学では国際誌に論文が受理されていることが事実上の学位取得要件でした。

修士の頃から投稿の準備を始め、博士課程の前半には受理もされていたので、

書いていた論文を数本束ねて出しただけ。

これで私は晴れて博士になりました。

ポスドク時代

無事に学位を取得した私は、

なんとか任期付きのポスドクのポストを得ることができました。

周りには博士課程で学位取得要件を満たせずに留年する人、

学位を取ってもポストがない人もたくさいんいます。

おそらく私は幸運な方でした。

ポスドクになると博士課程の頃のように、

自分のやりたい研究だけをするわけにはいきません。

新しいことを覚えながら、やるべきことをやっていきます。

その中で、決定的なトピックが2つあり、

私は企業での就職活動を開始することになります。

ひとつは家族ができたこと、

2つ目はアカデミックポストの公募にひっかかりもしないことです。

私が企業での就職をすることを決定的なものにしたのは、

結婚して家族ができたことです。

ポスドクは薄給で、任期の切れ目で無職になるかもしれない不安な状態にあります。

自分だけでなく家族をしっかり養っていけるのか。

悩んだ結果として、私は自分がアカデミックで頑張るリミットを作りました。

そんな不安定なポストで結婚なんか…という意見もあるかもしれませんが、

結果としてその判断は間違いではなかったと今は思っています。

次のトピックは、アカデミックの公募に受からなかったことです。

今企業で職に就いているので、当然なのですが…。

もう少し正確に言うと、受からないどころかひっかかりもしませんでした。

1度だけ面接まで進みましたが、数十件応募して燦々たるありさまです。

少し無理かもと思って応募したものもありますが、

中にはこれならいけるだろう、と踏んでいたものもそれなりにありました。

それでかすりもしないということは、基準が全く把握できていないということです。

そして、そのポストの採用者が後に分かるのですが、

どうして自分ではダメだったんだろう、と思うこともしばしばありました。

とにかく論文を出して、学会で精力的に活動すれば、

ポストを得られる(少なくとも評価は得られる)と信じていましたが、

未知の採用基準があることが、私の企業での就職活動を開始させました。

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はい、今回はここまでです。

今思うと精神的にはどうしてよいか分からなかった、

博士課程~ポスドク前半が一番つらかったかもしれないですね。

次回の就職活動開始以降をまとめて

このシリーズは終了予定です。

実は就職はあっさりと決まってしまうので、

なにを考えながら就職活動をしたのかを少し掘り下げようと思います。

博士課程やポスドクで、アカデミックで行くのか、

別の道に進むのか、迷っている人は多いと思います。

その1つの事例として、自分のことを考えるきっかけになれば嬉しいです。

では、また。