こんにちは、ひろすけです。
博士課程の学生にとって論文を書くという作業は、
最も重要にして、最もハードルが高い作業だと思います。
特に国際誌であれば。
ただ、この作業はアカデミアで生きていくなら必須ですし、
企業で働く選択をしたとしても非常に役立つ経験になります。
とはいえ、なかなか論文が書けない学生は多いです。
どうしたら論文が書けるようになるか、
私の経験をもとにまとめます。
もくじ
- 論文を書けない人の多くは、書けないではなく「書かない」人。
- 論文書きの経験がなければ最優先で書く時間を作り、1行でも書き進める。
- 論文書きの経験から得られるものは多く、企業に就職したとしても役立つ能力は多い。
論文を書けない人の特徴
私が大学院生やポスドクだった頃、
実験や調査、学会発表までは一生懸命にやるけれど、
論文はなかなか書けない人が身の回りにたくさんいました。
その人達の特徴をひとまとめにすると、
論文を書くという作業になかなか手を付けないことです。
いざとなれば(追い詰められれば)書けると思っているのか、
必要な時間を甘く見ているのかわかりませんが、
着手が遅いのです。
私自身もはじめの1本目を書くのはものすごく苦労しました。
書き始めから受理までには1.5~2年ぐらいはかかったと思います。
ただ、1本目で苦労して流れがおおよそわかったことで、
大学院在学中に3本の論文を出せました。
3本という数は分野によって多い少ないがあると思います。
ですが学位取得の基準は満たしていたので、
博士論文はこれらを束ねて出しただけでした。
結果として、博士論文としてものすごく頑張ったという認識はありません。
実験で結果がなかなか出なかったり、
論文の素材がなかったりする場合は別です。
手元にネタがある場合はいつでも論文を書き始めることができます。
そして初めてなら少なくとも1年ぐらいはかかることは想定しておきましょう。
とにかく書く時間を作る
論文のネタはあるけれどまだ書いていない人、
論文執筆未経験の人ができることはタイトルに尽きます。
とにかく書くと決めて、時間を作ることです。
書くと決めたら1行でも1文字でも書くことです。
ただ、全く何も分からない状態で書き始めるのは、
イメージもつかないし、効率も悪いです。
一番良いのは同じ分野でそれなりに論文を出している先輩の話を聞いて、
参考にすることでしょう。
※1本出している先輩の話は参考になりません。
たくさん出している若い人の話を参考にしましょう。
とはいえ、なかなか参考になる人がいなければ本に頼るのは一つの手です。
私が大学院当時に読んだのは以下の本(大改訂された現行版は読んでいません)。
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初めて論文を書く人には流れが分かって参考になると思います。
これを読んでおくのは効率的に作業を進めるという点でオススメです。
ただし、注意しておきたいのは、
本を読んだからといって論文執筆が進むわけではないことです。
先の本は私が院生時代に結構流行っていたので、
本棚にはあるけど論文書きは進んでいない人が私の身の回りにも結構いました。
本を読むのは効率的に進める/動機付けのためのきっかけに過ぎません。
本を読むことより1行書くことの方が上です。
とにかく1文字でも書き進めることでしかありません。
とにかく書く。
そんな気持ちになるためには以下の本が(気晴らしとして)オススメです。
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これは私の失敗談ですが、過去に論文書きがなかなか進まない後輩を誘って、
集まって論文を書き進める日を週に1回作ったことがありました。
時間を作るための拘束力を作ってみる試みでしたが、
参加者が理由をつけて少しずつ脱落していき、
私一人が残りました。失敗の原因は人望のなさもあったかも。
結局のところ、論文を書くのは個人の作業です。
自分でどれだけ必要性を感じて、優先順位を上げて、
時間を作れるかにかかっています。
論文書きから得られる能力
論文を書く作業から得られる能力は多くあり、
ざっと挙げても以下があります。
・長期的なスケジュールを立ててそれを進めていく能力 →プロジェクト管理・工程管理
・単著でないなら共著者と協力して作業を進める能力 →チームと役割分担
・相手に伝わる文章を書く能力 →ストーリーと文章作成
・論理を構成する能力 →論理構成・説得力
・必要な引用文献を収集し読み込む能力 →情報収集
・国際誌であれば英語能力
これらの能力は企業で働くとしても役立つものばかりです。
もちろん論文書きで企業で通用する完全な能力は得られませんが、
その下地としてであれば十分なものが得られます。
そういうこともあり、将来アカデミア一本でいくにしても、
企業に就職するイメージがあるにしても、
論文執筆には時間と力を割くことをお勧めします。
まとめ
今回は大学院生にとっては難関となる論文書きの話でした。
やらないといけないレポートがある、
進めておきたい実験がある、
プライベートでやりたいことがある、
それはわかります。
わかった上で、とにかく「書け」。
論文書きから得られるものは多いです。
やりたいこと/やるべきことがある中で、
自分でどれだけ論文書きの優先順位を上げて、
取り組めるかにかかっています。
ここではあえて効率的なやり方よりも、とにかくちょっとでも手を付けて進めるという、
地道さでまずは着手することをお勧めします。