こんにちは、ひろすけです。
私はアカデミアで30過ぎまでポスドクをして、
企業に就職をしました。
アカデミアで培った知識や技術は間違いなく今の仕事に生きています。
それは自信を持って言える事実です。
ただ、そのままアカデミアに残ることが良かったか、
と考えるとなかなかイメージが湧きません。
それも踏まえて、アカデミアで良かったことを
私のケースとしてまとめてみました。
要点
- 時間を気にせずに仕事ができ、新しい技術の習得や能力の向上ができた
- 新鮮な刺激が常にあった
- そこにいないとわからない「閉塞感」が実感できた
時間に縛られない生活
自己責任でいつ仕事をしてもよいので、
たっぷり時間を使って必要な技術の習得や能力向上ができたこと。
アカデミアにいて良かったことは基本はこれに尽きます。
加えるとすると、周りには新しい技術などに明るい人もいて、
そういう人から最新情報が入ってくるのも刺激になりました。
若いうちはとにかく自分のスキルを磨くことが重要なので、
こういう環境で没頭できたのは良かった点です。
(時間があった分、無駄も多かったけど)
企業に入るとどうしても効率性が重視され、
勤務時間にも制限があります。
自己研鑽の範囲で自分を伸ばせる人は良いですが、
その意識がないとなかなか新しい技術などを習得するのは難しいのが現実です。
必要なら自分の時間をかけてやるという意識が、
私の場合は自然とアカデミアで根付きました。
ただ、やっぱり働きすぎが良くないのは最近身をもって感じるところです。
健康的にも効率的にも。
バランスが重要なので、
今はしっかりと集中して仕事を片付ける方が良いと思っています。
あと、テクニシャン的なスキルを追い求めなくなったのが
大きいかもしれません。
新鮮な刺激
アカデミアにいると新しい情報が入ってきますし、
新しい人と関わり合える機会が多かったです。
セミナーであったり学会であったり。
たくさんの人と知り合え、
その度に刺激を受けられたことは良い経験でした。
アカデミアという世界にも色んなタイプの人がいて、
中には、とんでもなく突き抜けた人がいました。
こういう人とポストを争ったらまず勝てないだろうな、
という「すごい人」もたくさんいました。
企業で働いていても突き抜けた人には出会えますが、
その突き抜け度合いや頻度はやっぱりアカデミアにいたころの方が多かったです。
周りに優秀な人がいて、そこから受ける刺激は自分が成長する上でも重要です。
そういう刺激のある(場合によっては厳しい)環境は
努力してもなかなか得られるものではありません。
現場での実感
これは良い点と言ってよいのかはわかりませんが、
アカデミアが今後先細りしていくことが実感できました。
少なくとも私のいた基礎科学分野はそうでした。
予算が減って研究規模が小さくなる。
テニュアポストが減って、PIが減る。
任期付きのポストでさえ熾烈な争奪戦になる。
あとは、「ここ21世紀だよね?」と疑いたくなるような
コンプライアンス意識の低さがうかがえることもありました。
もちろんちゃんとしているところもありますが、
界隈で有名なラボとかでさえ〇〇(自主規制)であったり。
少なくとも私のその時の能力とアカデミアという組合せでは、
明るい未来は描けませんでした。
こういったことは周りで見ていても、
やっぱりわかりません。
実際に経験できて、自分として納得感のある選択ができたのは良かったです。
まとめ
改めてまとめると、
企業を選択した私からはアカデミアを純粋に推すことは難しいですね。
ただ、刺激のある環境に身をおきたいとか、
8時17時の会社員的な働き方はまっぴらごめんだ、
研究で成し遂げたいことがある(←これが一番重要)、
という人はアカデミアで活躍するのが良い人生を送れる選択になるのだと思います。